耳鼻科にはお子様がたくさん来られます。鼻水、鼻づまり、咳、耳が痛いなどの症状は子供がよく引き起こす症状で、当院では現在受診されるおおよそ1/3の患者さんはお子様です。小児の感染症を今一度勉強するために学会でセミナーに出席してきました。川崎医科大学小児科の尾内教授は小児の市中肺炎(通常に生活している人におこる肺炎)の最適治療を、また千葉県立保険医療大学の工藤先生から難治性急性中耳炎の対応に対する講演がありました。それぞれにガイドラインというものがあり、年齢、重症度分類、リスクファクターに応じて適切な抗生剤の使用、鼓膜切開、鼓膜留置チューブの併用などが推奨されています。

お二人の講演で共通しておっしゃっていることは、ざっくりですが、ワクチンの出現(プレベナー:肺炎球菌、HIb:インフルエンザ菌)と、広域抗生剤が小児で新規適応になった(トスフロキサシン、オラペネム)ことで耐性菌による感染率が減少し、肺炎や急性中耳炎の数は減っていないが重症化することがなくなっているとのことです。耳鼻科領域では入院が必要な中耳炎、重症化すると生じる乳様突起炎の数は減少しており、確かにそのような印象を受けています。また、これは保存的治療を優先する医師が増加しているのも関係しているとは思いますが、鼓膜切開を要する急性中耳炎の患者数も減ってきているようです。

私は抗生剤の乱用は耐性菌(抗生剤が無効な菌)発現や腸内細菌のバランス崩壊をきたすため、特に小児に対しての投与は慎重であるべきと考えていまが、重症化しないように日々の診療で気を付けながら抗生剤の選択、投与をしています。鼓膜切開は子供にとっては侵襲的な治療ですので、重症化して必要な際は頑張ってもらって施行しますが、そうなる前に適切な抗生剤の使用でコントロールができればと考えています。

難治性の中耳炎のリスクファクターとしては母乳保育の欠如、集団保育、受動喫煙、兄弟あり、おしゃぶりの使用といったところがあげられています。この中ですぐにでも改善できるのは両親の喫煙でしょうか。こういったことも今後啓蒙していく必要がありそうです。

今回新たに勉強になったのが、原発性免疫不全症候群(PID)についてです。これは生まれつき免疫能が低下している状態で、肺炎や中耳炎などの感染症を繰り返して発症します。昨年2月にIgG分画検査(IgG2)が保険適応となりました。また、PIDと診断がつけば反復性中耳炎に対してグロブリン製剤(点滴注射)が保険適応になっています。詳しい検査や治療は専門施設への通院が必要になりますが、耳鼻咽喉科医としては知っておかなければならない疾患の一つと改めて認識しました。

 

小児急性中耳炎ガイドライン

http://www.jsiao.umin.jp/pdf/caom-guide.pdf

小児市中肺炎ガイドライン

http://www.jspid.jp/journal/full/02403/024030297.pdf

原発性免疫不全症候群(PID

http://pidj.rcai.riken.jp/

 

かわもと耳鼻咽喉科クリニック

http://kawamoto-jibika.com/