鼻中隔矯正術後に鼻腔前方が狭小化し、鼻閉が生じる症例について:東京慈恵会医科大学 耳鼻科 飯村慈朗

鼻中隔軟骨尾側端基部の前鼻極への固定法の最近の工夫:東京慈恵会医科大学 形成外科 宮脇剛司

週の学会の発表で、私も工夫をしている鼻中隔弯曲症手術について、東京慈恵会医科大学の耳鼻科の飯村先生と同大学の形成外科の宮脇先生から御発表がありました。このお二人はいつも新しいことを発表されるので今回も楽しみにしていましたし、とても勉強になりました。

鼻中隔弯曲症の手術は鼻の手術の中でも最も多くおこなわれている手術だと思います。手術方法は、弯曲した軟骨をできるだけ除去するという方法が過去にとられていましたが、長期的にみると変形をきたす可能性があるため、不必要なことは極力しないという方針で、ここ最近は鼻中隔軟骨はできるだけ温存して手術をするという方向になっています。ここでのポイントは、どれぐらいの部分を温存し、どれぐらいを切除すべきかという判断が非常に重要になるということです。

飯村先生は鼻中隔の前方の弯曲(前弯)に対するご発表を以前からされており、今回のご発表では、前弯があり、さらに鼻中隔が前後方向にS字状に弯曲している症例では前弯が術後に増悪してくるために鼻閉を生じることがあるという症例を呈示されました。これには鼻中隔軟骨が術後にどのような変化をしてくるかという理解が必要になります。

鼻中隔軟骨は後方では鋤骨、篩骨垂直板といった骨と連続しており、骨・軟骨の発育とともに力が垂直方向、前後方向に加わることで、この接合部で弯曲をきたしてきます。この弯曲している接合部を解除すると軟骨は直線的にもどろうとし、前後上下に伸びるため、適切に処理しないと、再度力がかかって弯曲をきたしてしまいます。過剰に伸びた軟骨はその分を切除すると良い結果が得られるというご発表でした。このお考えには全く同感です。私も手術の際には軟骨の変形がどのようにもどってくるのかをみて、適切に処理しないといけないといつも思っていました。前後方法のS字状変化には今後は特に気を付けていきたいと思います。

また、私は前弯の症例に対しては以前からhemitransfixionの切開にてアプローチし、後方の鼻中隔軟骨を前方に誘導して前弯を固定補強(バテングラフト)するという方法をとっており、短期滞在手術研究会などでも発表してきましたが、この固定法の工夫について宮崎先生がご発表されておりました。宮崎先生は形成外科的な視点からご発表されるのでいつも大変勉強になります。

前弯の軟骨を後方の軟骨で補強するのは問題ないのですが、これらを前鼻棘(鼻の前下方の骨隆起)と固定するのが非常に難しいのです。open法といって、鼻の皮膚をがばっと開放させる手術では術野も広く、明視下にみえるので問題ないのですが、私は手術を日帰りで行っていることもあり、closed法といって、鼻内のみで完結させる方法をとっています。当然術野は狭くなり、手術手技が難しくなるわけですが、宮脇先生の固定法の工夫は狭い術野でも簡便にできる方法とのことですので、是非私も手術で取り入れていきたいと思っています。

学会でいろいろ新しいことを学んで吸収することができ、有意義な時間を過ごすことができました。クリニックを休診にしたため患者さんにはいろいろ御迷惑をかけましたが、学んだことを還元できるように、今後も学会に参加するのみではなく、当院からも情報発信をしていきたいと思います。

鼻