副鼻腔炎(蓄膿症)の日帰り手術のページをご覧いただき、ありがとうございます。
このページに辿りつくまでにも、たくさんのホームページをご覧になったのではないかと思います。
仕事に育児に介護などで忙しい中、長年副鼻腔炎(蓄膿症)の症状に悩まされ我慢している方、いろんな病院やクリニックに行ってはみたけれどもなかなか改善しない方、手術を受けようか受けまいかと悩み続けている方も多いのではないでしょうか。
“手術”となると、「怖いな」「術後は普段通りに生活できるかな」といろいろと不安に思うこともあると思いますので、できるだけ不安な気持ちや身体の負担が軽減されるように、当院のスタッフ一同サポートさせて頂きます。また、より良い医療を提供するために、そしてこれからも安心して「副鼻腔炎(蓄膿症)の日帰り手術」を受けて頂くために、学会に積極的に参加、発表し、いち早く最新の情報を得て、日々の日帰り手術の技術向上、体制強化に努めております。
まずは診察にてお困りの症状をお聞かせください。副鼻腔炎(蓄膿症)の手術をご希望の方は、どんな些細なことでもお気軽にご相談ください。
私たちは、患者様に安心安全な「副鼻腔炎(蓄膿症)の日帰り手術」を受けて頂くため、院内でも様々な工夫を行っております。
当院で行う副鼻腔炎(蓄膿症)日帰り手術の9つの特徴をご説明します。
保存的治療(薬物療法・ネブライザー療法など)で十分な効果が得られない場合には、「内視鏡下副鼻腔手術」を行います。病的な粘膜やポリープを内視鏡を用いて取り除きます。
当院では、局所麻酔で副鼻腔炎(蓄膿症)の日帰り手術を行っております。
以前行われていた副鼻腔炎の手術に比べ、ナビゲーションシステムや内視鏡の導入により、短時間で精度の高い手術を行うことができ、切除する箇所も最小限に、術後の出血・痛みも軽減されています。
保存的治療(薬物療法・ネブライザー療法など)で十分な効果が得られない場合に、
内視鏡下副鼻腔手術を行います。病的な粘膜やポリープを内視鏡を用いて取り除きます。
以前、行われていた副鼻腔炎の手術に比べ、ナビゲーションシステムや内視鏡の導入により、短時間で精度の高い手術を行うことができ、切除する箇所も最小限に、術後の出血・痛みも軽減されています。
内視鏡下副鼻腔炎手術が確立される前は、「経上顎的副鼻腔手術」という手術が行われていました。これは上顎の歯肉(上唇の裏側)に切開を加え、骨の一部の取り除いた上で、副鼻腔の粘膜を除去します。
当時は、病的な粘膜だけでなく健康な粘膜までできる限り除去するのが正しいと考えられており、そのため術後に副鼻腔の生理機能の障害、術後の嚢胞の形成などが生じていました。また、術後は創部の腫れ、出血、痛みが強く、長期間入院する必要もありました。
従来の副鼻腔炎(蓄膿症)手術に対して、内視鏡下副鼻腔炎手術(ESS)の場合は、内視鏡を用いて鼻の穴からアプローチします。
従来の「経上顎的副鼻腔手術」と比べると、以下のようなメリットが挙げられます。
・短期の入院あるいは外来(日帰り)での手術が可能
・術後の痛み、腫れ、出血が少ない。
・術後の副鼻腔の生理機能が保たれる
・術後の嚢胞形成のリスクが低い
・後遺症のリスクが低い
内視鏡科副鼻腔炎手術は、執刀医により高度な技術が求められますが、一方で、患者様の身体にも、患者様の生活にも低侵襲な手術と言えます。
内視鏡とは、細い棒(直径4mm)の先にカメラがついている医療用機器です。手術で使用するのは固い棒で、硬性鏡と呼ばれ、胃カメラや大腸ファイバーなどで使用されるのは軟らかい棒で、軟性鏡と呼ばれています。こういった内視鏡を使うと、入り口が狭くても奥を詳しく観察することが可能になります。
例えばお腹の手術は昔は開腹といって、大きく切って直接見て手術をしていましたが、今では病気の種類によっては内視鏡をいれる傷だけで手術ができてしまいます(腹腔鏡手術)。患者さんの体の負担が少ない、低侵襲手術ができるのです。鼻の手術も同様で、内視鏡がない時代は直接目で見る必要がありましたが、人の目では鼻の穴から奥を見るには限界があり、精度のとても低い手術で合併症が多く、危険な手術でした。
内視鏡が登場してからは確実に病巣をとらえて、精度の高い手術をすることができ、さらに患者さんの体に負担が少ない低侵襲手術をすることができる、これが内視鏡下で行う最大のメリットです。
低侵襲になることで術後の回復も早く、短期入院や日帰り手術も可能になります。
鼻から内視鏡を挿入し、副鼻腔内の視野を広げます。
マイクロデブリッダーという機器で副鼻腔内の病的な粘膜やポリープを切除・吸引します。
病変とポリープが取り除かれると各副鼻腔が鼻腔へと解放します。
鼻内の形態を整え、出血防止のための詰め物をして終了です。
術式は対象となる副鼻腔の数や手術の内容によって以下のように5つに分類され、患者様の病態によって選択する必要があります。いずれの術式も、根本的な目的は同じです。副鼻腔と鼻腔の交通路を広くして換気機能を回復させること、そして副鼻腔内の自浄作用を回復させることです。鼻水、鼻詰まり、息苦しさといった症状の改善・解消が期待できます。
「Ⅰ型」と呼ばれる手術です。局所麻酔の上、内視鏡を用いて鼻茸(鼻ポリープ)を切除し、本来あるべき通り道を確保します。手術時間は10分程度です
「Ⅱ型」と呼ばれる手術です。局所麻酔の上、内視鏡を用いて副鼻腔のうちの1つを開放し、炎症を起こしている粘膜を除去します。手術時間は、病態によって異なります
「Ⅲ型」と呼ばれる手術です。局所麻酔の上、内視鏡を用いて副鼻腔のうちの2つ以上を開放し、炎症を起こしている粘膜を除去します。手術時間は、病態によって異なります。
「Ⅳ型」と呼ばれる手術です。局所麻酔の上、内視鏡を用いて全ての副鼻腔を開放し、炎症を起こしている粘膜を除去します。片側で60分、両側で120分程度を要します。
「Ⅴ型」と呼ばれる手術です。脳の底部分を支える頭蓋底、眼球が収まる眼窩などへ処置が必要となるため、脳神経外科医がいる施設に限って行われます。この術式への適応が疑われる場合には、条件に合う医療機関をご紹介いたします。
安全性の高い日帰り手術を実現するためには、さまざまな設備が必要になります。
かわもと耳鼻咽喉科クリニックでは、CTはもちろんのことながら、高度な手術には欠かせない手術機器を導入しております。
当院では、尼崎からはもちろんのこと、神戸や大阪を中心とした関西地方、そして中四国地方からもご来院いただき、現在多数の日帰り手術を行っております。
手術前に撮影したCT画像と連動し、器械の先端が今どこにあるか、どこに触れているかが一目で分かる、高性能のナビゲーションシステムを導入しております。
各副鼻腔の形態は患者様ごとに異なりますが、このシステムの活用により、いずれの手術においても質の高さを維持することができます。
かわもと耳鼻咽喉科クリニックでは、メドトロニック社製のナビゲーションシステムを採用しております。
病的な粘膜、鼻ポリープ(鼻茸)、膿などを削り取り、吸引する装置です。吸引しながら切除することができるため、少しの出血でも内視鏡の視野が保たれて、全体の手術時間が短縮され、患者様への身体への負担を軽減します。
4Kのハイビジョンカメラシステムを搭載した内視鏡が、より正確な手術を実現します。また、カメラからの映像は、高解像度の大型モニターに映し出され、執刀医の繊細な技術を支えます。
手術名 | 保険点数 | 3割負担 | 備考 |
---|---|---|---|
内視鏡下鼻・副鼻腔手術Ⅰ型 | 3,600点 | 10,800円 | 自然口解放 |
内視鏡下鼻・副鼻腔手術Ⅱ型 | 12,000点 | 36,000円 | 1つの副鼻腔を開放 |
内視鏡下鼻・副鼻腔手術Ⅲ型 | 24,910点 | 74,730円 | 2つの副鼻腔を開放 |
内視鏡下鼻・副鼻腔手術Ⅳ型 | 32,080点 | 96,240円 | 全ての副鼻腔を開放 |
保険点数は、片側(片耳・片鼻)に対しての点数を掲載しています。
上記の手術費用に加え、診察料、薬剤料、処方料などが加算されます。
完全予約制ですので、必ず事前にお電話またはWEB予約にて診察予約をお取りください。
初診の方は、健康保険証、各受給者証をお持ちください。
現在服用しているお薬の情報(お薬手帳やメモで結構です。お薬そのものを持ってきてくださっても構いません。)、紹介状や血液検査・検査結果の画像などがございましたら、受付にお伝えください。
過去の鼻の病気やその治療、現在の状態についてお伺いします。
その後、顕微鏡や内視鏡を使って観察し、必要に応じて画像検査を行います。
この時点で分かることはすべてお伝えしますので、ご不安な点などがございましたら、お気軽にお尋ねください。
手術の必要性があると判断した場合には、まず医師がその説明を行います。
患者様にご同意いただけましたら、看護師が「手術コーディネート」を行います。手術コーディネーターは、面談形式で患者様とお話をし、手術について分かりやすくご説明します。
持病や内服薬の有無、ご家族のご意見、患者様のご職業などについてお尋ねします。ご職業をお尋ねするのは、術後の職場復帰をできるだけスムーズに行うためです。学生の方にも同様にお尋ねします。
その上で、手術前の検査日、手術日などを決定していきます。なお、静脈内鎮静法を使用するため、当日の交通手段についても確認いたします。
※手術コーディネートには、30分程度お時間がかかります。皆様が安全に手術を受けていただくため、術後のスムーズな日常生活への復帰のために大切な時間となりますので、ご協力ください。
ご来院いただき、必要な検査を実施します。
血液検査、心電図検査、鼻腔通気度検査を行います。検査結果によっては、手術前に内科を受診していただくこともあります。
※脳梗塞や心筋梗塞の治療、心臓バイパス手術などを受け、抗血小板剤・抗凝固剤を使用されている方は、手術によっては一定期間の休薬が必要になります。その際は、主治医の先生と連携させていただきますが、場合によっては日帰り手術では手術ができないことがあります。
ご来院いただき、「手術前の検査」の結果をお伝えします。
また、具体的な手術の方法、予想される術後のお身体・生活の状態や注意点、合併症のリスク、緊急時の対応などについても、改めてご説明いたします。手術コーディネートをした看護師からも術後の注意点などを説明させていただきます。
※未成年の方は、保護者の方の同伴が必要となります。
※遠方にお住まいの方は、05手術前の検査と06手術説明を同日中に行うことも可能です。神戸や大阪からのご来院の方も、ご相談時の診療状況によっては、検査・手術説明を同日に実施させていただくこともあります。
当院のスタッフから体調や手術日時の確認のお電話をさせていただきます。
手術に対するご質問やご心配な点、体調が優れない等、気になることがございましたら、遠慮なく仰ってください。
当日は、12時45分頃にご来院いただき、13時頃より手術を開始します。
ご来院後、体調、最後のお食事の時間、薬の内服の確認をし、術着に着替えていただきましたら、手術を開始します。
術式によって異なりますが、手術時間は1~2時間程度です。 その後、リカバリースペースで1時間ほどお休みいただき、患部の状態・意識の回復を確認した上で、お帰り頂けます。
※午前中の診療が長引いた場合には、少しお待ちいただくことがあります。ご了承ください。
※曜日によっては午前中に手術を予定することもあります。
ご帰宅後、当院からテレビ電話(スカイプ)を使って連絡させていただきます。患部の状態、体調などをお尋ねします。
何かお困りのことがございましたら、お気軽にお尋ねください。
※スカイプの設定をご希望されない場合は電話での連絡をさせていただきます。
※当院で手術を受けた方には、院長直通の電話番号をお伝えしております。出血が多いなど心配なこと、困っていることがある場合は、時間帯にかかわらず、ご連絡ください。
副鼻腔炎(蓄膿症)の手術において、局所麻酔であっても、全身麻酔であっても、手術内容そのものは同じです。局所麻酔下で行う場合には、限られた時間内で的確に手術を進めていく必要がありますので、「慣れ」「経験」が重要な要素となります。その要素を兼ね備える医師だからこそ局所麻酔下で日帰り手術が可能とも言えますが、当然、全身麻酔で行うケースもあります。その場合には入院設備の整った医療機関をご紹介します。
手術中、痛みを感じることはほとんどありません。ただし、むし歯などを原因とした副鼻腔炎(蓄膿症)の場合で炎症が強い場合や病変が高度な場合には、多少の痛みが生じます。
ご帰宅後も、出血は続きます。ただ、患者様ご自身での処置(詰め物の交換)で対応できる範囲内の出血量です。また、鼻がみはできるだけ控えてください。強く鼻を噛むと、多量に出血することがあります。かゆみや違和感などでどうしても我慢できないときには、ご連絡ください。
詰め物の交換では間に合わない鼻血が出たときには、鼻を押さえて下を向き、そのまま10分間安静にしてください。10分が経過しても止まらない、口から溢れるくらい鼻血が出る、というときにはご連絡ください。手術を受けられる方には、24時間ご利用可能な、院長直通の電話番号をお伝えしております。また、スカイプ(テレビ電話アプリ)での対応も可能です。
手術は、誰でもこわいものです。医師との診察の際や手術コーディネートの看護師とのお話しの中で、手術内容を理解していただき、できるだけ患者様の不安を解消できればと思っております。ただ、過度の恐怖・緊張は、手術時の循環動態の変動を招き、出血が多くなることがあります。安全性を十分に確保できないと判断した場合は、入院と全身麻酔での手術が可能な医療機関をご紹介させていただくこともあります。
当院で行った副鼻腔炎(蓄膿症)の手術では、ほとんどの方に完治、あるいは大幅な症状の改善が見られます。ただ、症状が残ってしまう、再発してしまうこともあります。特に指定難病である好酸球性副鼻腔炎の方は体質的なことが関係しますので、再発しやすくなります。
お仕事や学校は、少なくとも翌日は休んだ方が楽だと思います。鼻血が出やすい状態ですので、肉体労働、汗をかく運動も1週間は控えてください。
ゴルフをされる方は、コースを回っている際、出血が起こると救急搬送に時間がかかります。鼻からとはいえ大量の出血は危険ですので、3週間程度は控えてください。また同様の理由で、飛行機の利用もできる限り控えてください。
炎症の重症度や、術後の状態によって異なりますが、当院では通常でしたら術後翌日、5~6日後、14日後、21日後、35日後、50日後、80日後の7回ぐらいの通院をしていただくことが多いと思います。傷の治りが早ければもう少し回数が少なくなりますし、おそければ多くなり、通院期間も長くなります。好酸球性副鼻腔炎の場合は再発しやすい疾患ですので、その後も定期的な受診が必要になります。
当院では局所麻酔で手術を行っています。局所麻酔とは鼻の中だけを麻酔して手術をする方法ですので、話をしたりコミュニケーションをとったりすることは可能です。ただ、鼻は感覚器なのでさわられるととても不快なために、手術中は鎮静剤を使用していますので、鎮静剤がよく効いているとぼーっとした状態で寝ている方もおられます。
当院では定期受診が終了になる術後2~3か月の時点でアンケートを実施しています。このアンケートで、「もっともつらかったこと」の第一位は術後の鼻の詰め物でした。詰め物の種類はできるだけ鼻に負担のかからない素材のものを選んでいますが、手術をした夜はしんどいと思います。当院では翌日、もしくは翌々日に詰め物を抜去するようにしています。
傷に対する医療的な処置は、昔は「ガーゼ」をあてることでした。鼻の手術も鼻の奥の傷に対してガーゼを挿入していた時代があります。このガーゼですが、傷からはずすときに傷が再度開いて痛みと出血を伴います。当院ではガーゼを使用することなく、創部を保護するような素材を使用して、できるだけ抜去する際の痛みを減らせるように工夫しています。しかし抜去する際は激痛とまではいきませんが、少し痛みはあるかと思います。
局所麻酔には鎮痛と鎮静を行います。鎮痛は痛みを感じさせなくすること、鎮静は意識を落とすことをいいます。鎮痛と鎮静がうまくかみ合えば痛みは全く感じず、ぼーっと半分寝ている状態になります。術後のアンケートの結果では1/3の方は全く手術中のことを覚えていないとお答えになっています。残り1/3はぼーっとはしているが何かされているのは感じている、残り1/3の方はなにをされているのかはわかるとお答えになっており、個人差があります。痛みに関しては少し感じるときはあるが我慢できる程度とお答えになる方がほとんどでした。
再発にはいろいろな種類の再発があります。体質的に鼻にポリープができて匂いがしなくなる「好酸球性副鼻腔炎」は、体質的なものですので手術をしても完治というわけにはいかず、ポリープの再発を多くの場合認めます。再発しないよう、また再発しても症状がでにくいように処置や投薬が必要になります。また、副鼻腔炎の手術は副鼻腔と鼻腔の交通路を拡大する手術ですが、術後処置が不十分だったり、強い感染を引き起こしたりすると一度拡大した交通路が狭くなって再発してしまいます。他には虫歯が原因でおこる副鼻腔炎(歯性上顎洞炎)は、副鼻腔炎は一度治っても虫歯が悪さをすると再度副鼻腔炎になることがあります。
副鼻腔炎の再発率はその病態によって異なります。虫歯が原因の歯性上顎洞炎は、副鼻腔手術をしても虫歯が再燃すると悪くなります。一般的な膿がたまる副鼻腔炎(蓄膿症)は術後の再発率は10%強ぐらいでしょうか。体質的な問題である好酸球性副鼻腔炎は再発しやすく、軽症から重症で再発率は異なりますが、おおよそ20~50%と考えられています。